法医学者には"多彩なバックボーンを持つ人"が多いのも法医学の特徴です。【臨床での診療科であれば何科と相性が良いのか?】そう気になっている人もいると思います。また「(将来)何科を勉強したらよいのか?」「何科に進んだらよいのか?」と悩んでいる医学生もいるかも知れません。今回はそういった観点も含め『何科出身の医師がいるのか?』について詳しく書いていきたいと思います。結論から言うと、【ほぼ全診療科出身の法
今回は「医学部在学中に法医学と接する機会」について書いていきます。ただしこれはあくまで一例であって、大学ごとにカリキュラム・システムは大きく違います。従って、皆さんが在学している大学の法医学も同じかどうかの保証はありません。その点はあしからずご了承ください。さて、無事医学部に入学できたとして、実際にどのような機会で法医学に触れるのか?以前にもチラッと触れたことはありますが、(参考記事:法医学を学ぶ
前回の記事では『まずは自身の通う大学の法医学教室へ相談を』という話をしました。それでは【各大学の法医学教室では一体何が違うのか?】今回はこれについて書きたいと思います。ある意味、この"違い"を考慮して「どの法医学教室がよいか?」というのを考える人もきっといると思います。ただ今回挙げた項目が単純に「多いから良い、少ないから悪い」という話では決してないことには十分ご注意ください。あくまでその教室の特徴
今回は実際に医学部に入学し、その上で法医学に進みたいと思っている人に向けた記事です。以前にも関連記事を書いていますので、そちらもよろしくお願いします。[参考記事:法医学者になるには][参考記事:法医学と臨床研修]法医学教室は各都道府県の大学に少なくともひとつは存在するわけですが、その中で『どこの法医学教室を選べばいいのか?』という悩みは必ず出てくると思います。これは多くの法医学を目指す医学生さんに
今回は法医学でよく耳にする"表皮剥脱"についてです。よく"擦過傷"と同義に捉えられがちですが、厳密にはそうではありません。あと"挫創"とも違います。(参考記事:挫創とは)(創傷① ② ③ ④)これらの違いについて理解できるようになると良いかと思います。まずは定義からですね。表皮剥脱:表皮が剥がれた状態のこと。鈍的外傷の一種。体表は深くなるにつれて【表皮→真皮→皮下組織】となっていきます。"表皮剥脱
今回は法医学の矛盾点、私が気になっていることについて書きたいと思います。私自身は明確な答えを持っていませんので、皆さんにも一緒に考えてほしい内容です。【ご遺体を解剖できるのは誰か?】これに対する解答は以前このブログでも書きました。(参考記事:解剖ができるのは?)答えは原則的に『死体解剖資格を持つ医師・歯科医師』でした。ある有名な教科書の一節にこうあります。『死亡の確認は医師の医学的判断あるいは技術
今回は解剖中の法医学者の服装について書きたいと思います。上はディスポーザブルガウンとビニールエプロンを着ますので、「それらの下の服装」という意味ですよ。皆さんはどのようなイメージを持っていますか。最近はドラマでもそういう細かな描写も忠実に再現していますので、もしかしたらイメージ通りかも知れませんね。私自身は【スクラブ】を着て解剖を行っています。救急外来の先生達が着ていたり、手術着・オペ着に似た半袖
今回は創傷の中でも、特に"労働災害"について書いていきたいと思います。基本的な内容については創傷① ② ③の記事もよろしくお願いします。労働災害とは『業務上の事由または通勤による負傷、疾病、障害、死亡』を指し、発生した場合は事業者が労働基準監督署に届け出る義務があります。死亡者は年々減ってきているものの、それでも年間1000人弱は労働災害によって亡くなっています。この通称"労災"は労災認定・補償の
前回の"生活反応"に関連して"超生反応"について書きたいと思います。今回のテーマは【人は死後も生きているのか?】です。「いや亡くなっているんだから生きているわけないでしょう」そう思う方にはぜひ最後まで読んでいただきたいです。結論から言うと、ヒト全体としては死亡しても、個々の細胞はその後もしばらく生きていることがあります。その種々の細胞によって起こる反応を"超生反応"と呼びます。先に参考記事として
今回は法医学で最も重要な概念のひとつと言える"生活反応"(生体反応)について書きたいと思います。この"生活反応"は、その損傷が生前に出来たものか?死後に出来たものか?を判断する上で必須となる考え方です。『生前か?死後か?』によって、殺人罪となるのか?死体損壊罪になるのか?も変わってくるため、社会的にも大変重要となります。生活反応:『生体で認められる反応』のこと。裏を返せば『死体では認められない反応